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  1. 長野県議会 2022-12-12
    令和 4年11月定例会農政林務委員会−12月12日-01号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年11月定例会農政林務委員会−12月12日-01号令和 4年11月定例会農政林務委員会 農政林務委員会会議録(その1) ●招集年月日時刻及び場所   令和4年12月12日(月)午前10時30分、議事堂第4委員会室に招集した。 ●出席した委員の氏名    委  員  長       小 山 仁 志    副 委 員 長       宮 下 克 彦    委     員       佐々木 祥 二       同          鈴 木   清       同          依 田 明 善       同          小 林 あ や       同          池 田   清       同          中 川 博 司       同          毛 利 栄 子 ●欠席した委員の氏名    な し ●説明のため出席した者の氏名 (農 政 部)
       農政部長          小 林 安 男    農政部次長         田 中 達 也    農業政策課長        塩 川 ひろ恵    農業技術課長        小 林 茂 樹    園芸畜産課長        吉 田 新 一    農地整備課長        平 林 孝 保    農村振興課長        荒 井 一 哉    農産物マーケティング室長  村 山 一 善    家畜防疫対策室長      青 沼 健 治 ●付託事件   別紙のとおり ●会議に付した事件  1 会議録署名委員の決定  2 付託事件のうち1、3〜6、10、12〜14、17〜19、22  3 農政部関係所管事務一般について ●開議時刻 午前10時28分 ●小山委員長 開会を宣した。  ▲審査日程の決定    農政部関係 12月12日(月)、12月13日(火)の前半    林務部関係 12月13日(火)の後半、12月14日(水)  ▲日程宣告   1 会議録署名委員の決定   2 農政部関係の審査  ▲審査順序の決定   1 付託議案等について理事者の説明   2 質疑等   3 付託議案の採決   4 請願・陳情の審査  ▲会議録署名委員の決定    委員長の指名により、次の委員に決定した。    4番 小林委員  6番 中川委員  ▲農政林務委員会付託事件の報告    予算案2件、条例案1件、事件案1件、請願1件、陳情21件  ▲意見聴取の決定    本委員会に付託された第7号「長野県森林づくり県民税条例の一部を改正する条例案」については、総務企画警察委員会の所管に係る部分があるので、先例190により、同委員会の意見を求めることに決定した。  ▲農政部関係付託事件の報告    予算案2件、事件案1件、請願1件、陳情9件  ▲議題宣告農政部関係)    付託事件及び所管事務一般を一括して議題とし、議題に関連して理事者の説明を求めた。 ◎小林安男 農政部長 別添、部長説明要旨に基づいて説明した。 ○小山仁志 委員長 第1号「令和4年度長野県一般会計補正予算(第4号)案」中、第1条「第1表 歳入歳出予算補正」中、歳出 第7款 農林水産業費中の農政部関係、第2条「第2表 繰越明許費補正」中の一部について、理事者の説明を求めた。 ◎塩川ひろ恵 農業政策課長 議案、予算説明書、別添資料1及び資料2により説明した。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 予算説明書及び別添資料3により説明した。 ◎平林孝保 農地整備課長 予算説明書及び別添資料4により説明した。 ○小山仁志 委員長 第12号「県営農村地域防災減災事業柳原地区用水トンネル工事変更請負契約の締結について」、理事者の説明を求めた。 ◎平林孝保 農地整備課長 議案及び別添資料5により説明した。 ○小山仁志 委員長 報第2号「交通事故に係る損害賠償専決処分報告」について、理事者の説明を求めた。 ◎塩川ひろ恵 農業政策課長 議案により説明した。 ○小山仁志 委員長 第26号「令和4年度長野県一般会計補正予算(第5号)案」中、第1条「第1表 歳入歳出予算補正」中、歳出 第7款 農林水産業費中の農政部関係、第2条「第2表 繰越明許費補正」中の一部について、理事者の説明を求めた。 ◎小林茂樹 農業技術課長 議案(追加分)、予算説明書追加分)、別添資料6及び資料7により説明した。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 予算説明書追加分)及び別添資料8により説明した。 ◎平林孝保 農地整備課長 予算説明書追加分)、別添資料9及び資料10により説明した。 ◎荒井一哉 農村振興課長 予算説明書追加分)及び別添資料11により説明した。 ○小山仁志 委員長 理事者から発言を求められていたので、これを許可した。なお、理事者の発言中、モニターを用いたい旨の申し出があったので了承願った。また、それに伴い、一時的に理事者が席を移動するので、併せて了承願った。 ◎塩川ひろ恵 農業政策課長 別添資料12「第4期長野県食と農業農村振興計画答申概要について」により説明した。 ◎村山一善 農産物マーケティング室長 別添資料13「輸出拡大に向けた海外バイヤー招へい及び市場調査について」及び資料14「県立学校等における有機給食食育活動の実施について」により説明した。 ◎小林茂樹 農業技術課長 別添資料15「米の需給動向等について」により説明した。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 別添資料16「「信州の伝統野菜」の振興について」により説明した。 ○小山仁志 委員長 午後1時30分まで休憩を宣した。 ●休憩時刻 午前11時50分 ●再開時刻 午後1時29分 ○小山仁志 委員長 再開を宣し、引き続き理事者から発言を求められていたので、これを許可した。 ◎青沼健治 家畜防疫対策室長 別添資料17「高病原性鳥インフルエンザへの対応について」により説明した。 ◎平林孝保 農地整備課長 別添資料18「ため池を活用した雨水貯留取組状況について」により説明した。 ◎荒井一哉 農村振興課長 別添資料19「信州農業エグゼクティブMBA研修の実施について」により説明した。 ○小山仁志 委員長 委員の質疑等発言を許可した。なお、議論を深めるため、委員の発言に対し、ほかの委員から意見等がある場合についても、併せて発言願った。 ◆佐々木祥二 委員 御苦労さまでございます。それでは、私から少し質問させていただきたいと思います。農政部長を中心に農政部皆様方におかれましては、価格高騰から始まりまして、6月、9月、11月と、常日頃より農業者の支援のために御尽力をいただいておりますこと、私の立場からも感謝申し上げる次第でございますし、これからが一番大事な時期に来ております。農業者皆様方にとっては、12月が、膝をついて経営をあきらめるか、それとも継続するか、一番の思案どころでございますので、どうかしっかりとメッセージを出していただいて、経営安定のために御尽力をいただきたいと思います。資料1を見させていただきますと、本当に燃油代や電気代、飼料、肥料、キノコから穀物に至るまで、しっかりと対策していただいていると感じておりますので、今後の動向も的確に見ていただいて、引き続き御支援をお願いしたいと思います。特に資料3でございますが、ここで酪農の皆様方を支援することが本当に大事だと思います。現地へ行って、経営者からお話を聞くと、飼料代も上がり、円安にもなり、本当に大変だとおっしゃっておりました。先ほどの説明にもあったように、ここをしっかりと対策していただきたいと思いますが、御意見等ございましたらお願いします。 ◎青沼健治 家畜防疫対策室長 酪農家の皆さん経営状況は本当に厳しいと、農政部としても認識しております。今回、こういった事業を提案させていただきまして、これをお認めいただいた暁には、一日でも早く酪農家の皆さん補助金を届けまして、経営を続けていただきたいと思いますし、また来年度に向けて、粗飼料生産等拡大対策につきましても、国の事業等を活用しながら支援をしてまいりたいと考えてございます。 ◆佐々木祥二 委員 仕事に携わる皆さんにとっては、農政部皆様方の声が本当に大事でございます。第一弾、第二弾、第三弾だけではなくて、次年度の5年度も継続して対策を行うというメッセージを届けることで、本当に勇気が湧いたり、希望が持てると思います。なので、現場に足を運んで、現地の皆さんに伝えていただけたらありがたいですし、きちんと対応していただきたいと思いますので、お願いします。  次に、資料9ですけれども、地籍調査は大事なことでございまして、ここをしっかりやっていかないと、もう何もできません。長野県全体の進捗率を見てみますと39%、全国平均が52%でございますけれども、長野県は今まで調査を行ってこなかったツケが多く回ってきていると感じておりますので、今後は実施していただきたいと思います。特に、農地の進捗率は62%、全国平均は71%となっておりますけれども、林地は30%などという数値も出ております。これについては、明日の委員会でも聞きますが、農政部としてはどのように方策を考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。 ◎平林孝保 農地整備課長 林地における地籍調査の推進についてです。今、御指摘ありましたとおり、県内の地籍調査対象面積のうち、林地が占めている割合は71%でございます。その約70%を占める林地の進捗率が30%ということで、全県の進捗率が数字としてはなかなか上がってこないのが現状でございます。林務部のほうでも、林地の境界確定につきましては、森林整備等を進める中で取り組んでいると聞いておりますし、来年から一部の市町村でも取組を進めるとのことですが、現地も急斜面で境界の立会いが難しいと伺っておりますので、林務部と連携をしながら調査を進めるように取り組んでまいります。 ◆佐々木祥二 委員 農地のほうはどうでしょうか。 ◎平林孝保 農地整備課長 圃場整備等を推進している中で比較的進んできておりますし、宅地についても、中心市街地等を中心に進めていただいております。市町村事業主体でございますので、マンパワー等それぞれに係る予算体制等がございますが、地域振興局で技術的なアドバイスもしながら円滑に進むように支援していきたいと思っております。 ◆佐々木祥二 委員 農地につきましては、換地、または圃場整備を行った跡地につきましては、それぞれ地籍調査ができていると思います。長野県も、土地改良事業がしっかりできているところについては、これもまた地籍調査が進んでいると思いますけれども、一番重要なのは中山間地から遊休農地です。そこについて、これからどのように実施していくのか、戦略や戦術等、聞かせていただければありがたいです。 ◎平林孝保 農地整備課長 中山間地等地籍調査でございますけれども、それぞれ市町村実施計画の中で、宅地や林地、農地の調査を進めております。そういった中で、中山間地から山林にかかる部分につきましても早めに進めていただいて、今、地権者の方が明確になっている段階で、しっかりと境界を確定しておくことが大事だと思いますので、引き続き支援をしてまいりたいと考えております。 ◆佐々木祥二 委員 ぜひお願いします。例えば、祖父が亡くなってしまって、土地の相続ができないようなことがあると、二代、三代まで相続の判こをもらわなければならないということがあります。ここは市町村としっかりと打合せして、地籍調査を行うことが重要だと思いますので、お願いをしておきます。資料11でございますが、経営体育成支援事業にも支援策を取り、補助を出していただいていて、ありがたいと思います。農業者農業団体皆様方に対しては、機械化から始まって、これも1,500万円や3,000万円と、それぞれ支援していただいているわけでございますが、2億6,800万円をオーバーするような取組主体があった場合はどうなるのですか。 ◎荒井一哉 農村振興課長 2億6,800万円ということで補正予算をお願いしているところでございますが、今現在の見込みでは、これを上回ることは恐らくないだろうと考えております。また、国の予算の全体枠がございますが、この事業は全国的にも大変利用者が多く、仮に要望があったとしても、国の段階で内報額が下回る可能性があります。しかしながら、今のところは、長野県は2億6,800万円で足りるのではないかなと考えております。 ◆佐々木祥二 委員 私は、たくさん利用者が応募して、2億6,000万円では足りないのではないかと心配したのですけれども、そういう心配はしなくていいということですか。 ◎荒井一哉 農村振興課長 そのように想定をしております。 ◆佐々木祥二 委員 こういうものは、もっと使ってくれと周知することが大事だと思いますし、こういう取組によって次の農業が続いていくのではないかと思っております。7,636万円余という助成金もありましたけれども、それについても、やはりオーバーするくらいが大事かなと思いますので、農業者や団体の皆さんに有利な2分の1補助金があると、こういう補助金を利用して、ハウスの建て替えですとか、二重にするとか、農業機械を整備して新しいものにするとか、草刈り機もいいものにするとか、しっかり使っていただくように、引き続き周知徹底をしてほしいとお願いしておきます。資料12でございますけれども、第4期長野県食と農業農村振興計画答申概要ということで、すばらしい答申だなと思っております。この基本目標の中で、経済努力目標として、5年間の生産額で3,700億円、プラスが100億円余になると設定されているのですが、片や、(4)を見てみますと、今後も少子高齢化、人口減が見込まれるということです。農業者の減少が予想されている中で、先ほどの基本目標を設定されているのは頼もしい限りでございますけれども、数値目標が達成されなかった場合については、どのようにお考えでしょうか。 ◎塩川ひろ恵 農業政策課長 経済目標のことでよろしいでしょうか。先ほども少し御説明させていただきましたが、この目標が達成されるように、農業経営体ですとか、中核的経営体をしっかり育成していきたいと考えております。5年間でやりますので、具体的に毎年数字の目標値を持ちまして、それを振り返りつつ、翌年度の政策につなげていって、何とかその目標を達成したいと考えているところでございます。 ◆佐々木祥二 委員 5か年計画ですから、1年ごとの目標をしっかり立てて、その目標をクリアすることを目指すのかなと思いますが、目標がクリアできないと、次年度はもっと厳しくなるわけでございますし、結局3年度、4年度、5年度と繰り上がって、達成できないで終わってしまうのです。数値を見てみますと、中核的経営団体は4.3%アップと記載されていますが、これを達成するための戦術、戦略についてはどのように考えておられるのでしょうか。 ◎塩川ひろ恵 農業政策課長 具体的な事業の話まではできませんが、農政部としては、現在も担い手の育成や確保に一番力を入れております。ですので、先ほど、MBA研修等がございましたけれども、県で研修会を開く以外にも、農業農村支援センターでも、規模を法人化し、法人化したものを大規模化していくという支援をしております。これはあくまでも稼ぐ金額の話ですけれども、同時に農地の集積も進めていけば、数字的には達成できるだろうということで、お出ししたところでございます。 ◆佐々木祥二 委員 中核的な経営母体ができるのであれば、それに越したことはございませんけれども、これから人口減と高齢化に伴い農業の担い手不足が見込まれる中で、マッチングを進めることは非常に難しいのではないかと思っておりますが、しっかり目標達成ができるように、農政部として頑張っていっていただきたいと思います。農地の欄の棒グラフの中で、不在地主を少なくするということで、今現在、31.5%を22.2%と、9%減らすと書いてありますが、今でさえ分からない不在地主が、5年後になったら約10%も減るのでしょうか。 ◎荒井一哉 農村振興課長 所有者不明農地の対策についてですけれども、全国的に不在地主や、所有者不明の農地についての課題というのは大きくなっております。そのような中、国においても、一定の手続を踏めば、地主が不明の場合にも農地が活用できるという仕組みも新たに制度化されました。所有権そのものを移転することは困難かもしれませんが、実際は有効に活用できる農地なのに、地主が分からない、あるいは相続人が分からなくて使いづらくなっているものについては、国の制度改正も踏まえながら活用できるように取組を進めてまいりたいと考えております。 ◆佐々木祥二 委員 そうなんですか。そういう制度改正ができていて、不在地主のところであっても活用することができるという理解でよろしいでしょうか。 ◎荒井一哉 農村振興課長 所有者不明農地については、裁判所が関与するのですけれども、不明共有者等に対して公告をした上で、残りの共有者の同意で共有物の変更行為ですとか、管理行為を可能とする制度を創設するということで、全員の同意が得られなくても活用ができるという内容でございます。 ◆佐々木祥二 委員 それは令和5年から可能になるのですか。 ◎荒井一哉 農村振興課長 既にこの制度は運用されております。 ◆佐々木祥二 委員 ありがとうございました。それでは、そういう制度をしっかり使っていただいて、遊休農地不在地主の農地を活用し、農業生産力を上げていただきたいと思いますので、お願いします。次ページでございますけれども、施策体系ということで、「皆が憧れ、稼げる信州の農業」、「しあわせで豊かな暮らしを実現する信州の農村」、そして「魅力あふれる信州の食」といった様々な項目が並んでおります。(6)にも達成指標が出ておりまして、2027年にこれだけの目標を達成するということで、5か年計画の中で、一年ごとにしっかり棒グラフをつくっていただいております。目標達成に向けて、毎年取り組んでいただいて、5年目にこの数字が全てプラスになるように御尽力をしていただきたいと思いますが、この政策を実現する上で、裏面に重点的取組事項が書かれております。この事項に関して、農政部として考えている金額だけではなくて、目標に対する戦術や戦略を実施するために、初年度はこれだけ予算をかける。できなかったら次年度は1.5倍の金をかけるという気概があるか、お聞きしたいと思います。 ◎塩川ひろ恵 農業政策課長 予算の御質問かと思います。今も、国でも随分と経済対策等が出されていますので、取り組めるものは積極的に進めておりますが、今回の重点的な取組事項についても、既存でやっている予算はもちろん、国が行っている事業をうまく活用することも一つの方法かと思います。また、県独自のメニューについても内部で検討しております。予算要求の公表が二十二、三日なので、細かいことを申し上げるのは難しいですけれども、当然、県の単独予算もしっかり要求して、実現させていきたいと考えております。ただ、委員おっしゃるように、金額については見積もっておりませんので、その辺については、また考えさせていただきたいと思っております。 ◆佐々木祥二 委員 計画だけなら机上でいくらでも書けます。目標の人数を100人から200人に増やし、金額を3,300億円から3,700億円にする、これは簡単にできるのです。しかし、あと5年も経てば、ここに何人残るのかも分かりません。計画は作ったけど、コロナでできなかったから仕方ない、また次の5年に向けて計画を作ればいいやというように、大体はこれで終わってしまいます。だから、戦術や戦略をしっかり組んで、これをやるのにいくらかかるのかという見積りをしてから家を建てる必要があるのです。しっかりとした設計図ができたとして、基礎や柱、屋根はいくらかかるのか、全部見積りをし、お金を払っていきながら家を造っていかねばならないのです。それをやらないで、設計図だけきれいに作っても、それはプランを作っただけのことであって、後のことはどうなるのかなと思ってしまいます。気概を込めてやれば、達成できると思うけれども、その辺について、もう一度、決意を聞かせていただきたいと思います。 ◎小林安男 農政部長 次期食と農業農村振興計画に対する決意ということで御質問をいただきました。計画をつくるだけで終わらせるつもりは毛頭ございません。本当にこの計画に掲げた目標が達成できるように農政部一丸となって取り組んでまいる所存でございます。この計画につきましては、今回、こういった形で答申を受けまして、3月には取りまとめて、5年間の大きな計画の枠組みをつくります。その上で毎年度、必要な予算の枠組みを講じて実行計画も作成いたします。そして、翌年度になりましたら、前回の9月の委員会で報告をさせていただきましたけれども、実績レポートということで、前年度の取組を総括する報告書を作成するところです。ですので、まず、この計画本体は作成しますが、単年度ごと実行計画も作成し、それに必要な予算の確保をし、加えて、その翌年度に、実施された内容について、何ができて、何ができていなかったのか、レポートを取りまとめた上で、翌年度、さらにまた実行計画を作成してつなげていくというPDCAサイクルを回して、3,700億円という目標を達成できるように、強い意志を持って取り組んでまいりたいと考えております。 ◆佐々木祥二 委員 これは、県民条例に基づくものになりますが、目標達成できなかった場合はどうなるのですか。 ◎小林安男 農政部長 目標達成に対するできなかったときの対応は、特にあるわけではございません。しかし、先ほども申し上げましたが、目標が達成できるように、この3,700億円についても設定しているところです。やはり今のこの状況ですので、農産物の生産額を伸ばすことは非常に厳しいです。こうした中でも、6次産業化や観光農業といった関連産出額については少し伸びているので、全体としては3.4%の増という形になっていますが、農産物自体については大きな伸びは計画しておりません。いずれにしても、この目標が達成できるように取組を進めてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。 ◆佐々木祥二 委員 2ページにも目標指数が書いてありまして、中核的経営の数を1万44経営体から1万700経営体までにするとか、49歳以上の新規就農者を年間215人に増やすなどと掲げられております。これを達成するのは大変ではないかなと思いますけれども、そうはいっても、高い目標を立ててやらなければならないと思っておりますので、農政部を挙げて取り組んでいただきたいと思います。田中角栄さんの言葉に、このようなものがあります。田んぼに入ったことのない者が米のことが分かるわけがない。リーダーに不可欠なものは現場指揮能力である。現場で指揮のできるものでなければ駄目だ。リーダーがいつも机に張りついて、資料だけにらめっこしている企業は見込みがない企業だ。それは上の者の意見が現場に届いていないからである、と。率先垂範、自ら先頭に立って強力なリーダーシップを発揮するようお願い申し上げ、私の質問を終わります。 ◆鈴木清 委員 それでは、答えられる範囲内で結構ですので、質問していきたいと思います。まず1点目は、ため池の、いわゆる農閑期と農繁期の雨水調整の話です。これは5年くらい前から始まっている制度だと思いますが、山麓に位置したため池の監視カメラ設置状況についてです。全額国庫負担で、県負担も市町村負担もないはずなので、非常に使い勝手のいい制度だと思うのですが、どのような手続で監視カメラの申請をし、どのような経緯を経て認定されるのでしょうか。あるいは、対象となるのは、あくまで県が把握したため池に限るのでしょうか。例えばここ5、6年の間に何々団地ができたものだから、もう一度改めてため池の管理をしっかりしてほしいと。そうしたら、監視カメラを設置できる制度があるけれども、使うことはできないかという問合せが地域の方からあった場合も対象になるのでしょうか。多分、維持管理は水利組合の土地改良区だと思うのですが、どのような申請手続をし、どこで採択し、その監視カメラ設置状況はどの程度進んでいるのか、以上の事項について説明をお願いしたいと思います。ついでに、2点目として、今、佐々木委員から地籍調査の話がありましたが、昨今の話として、長野市に地籍調査の対象地区は入っていますか。地籍調査というのは道路改良や区画整理的な側面を含む場合もありますから、建設部や建設事務所が窓口となって対応するような事業もあると思うのですが、この下働きの地籍調査だけ農政部でやるということなのですか。
    平林孝保 農地整備課長 まず、ため池の監視カメラについての御質問でございます。現在、規模が大きくて、万が一の時に下流への影響が大きい689のため池を、防災重点農業用ため池として指定しています。その中で、特に規模が大きいものについては、市町村と調整をしまして、ため池管理者や市町村が設置を希望する箇所を中心に監視カメラと水位計を設置しております。現在、設置が済んでいるため池は149ございます。これにつきましては、国の定額の補助金を活用しまして、全額国費で、市町村や県の負担なしで設置してございます。今後、設置を希望するため池があった場合どうするかということですが、その辺については予算もありますので、現時点で具体的な計画については申し上げられませんけれども、地域振興局等を通じて要望等を取りまとめて、希望状況に応じて国への予算要求をしながら、設置が必要なところは対応していきたいと考えてございます。手続等については、希望を取ってから進めますので、何か特別に定めてあるわけではございません。あと、地籍調査の関係ですけれども、長野市につきましては、調査対象面積が679平方キロメートルございます。地域については手元に資料がないためお答えできないのですが、そのうち実施済みの面積が130平方キロメートルございまして、進捗率が18.8%という形になってございます。それから、市街地の部分で土地区画整理事業という、国土交通省関係の事業で市街地の区画整理が行われることがありますけれども、そちらも農地の圃場整備と一緒になります。 ◆鈴木清 委員 区画整理、土地改良事業もそれなりに関わってきているので、その辺の経緯は承知しております。監視カメラの設置については、地域振興局経由の場合や、市町村からの要望や希望があった場合に採択するという話がありましたけれども、これは都市計画と同じで、例えば、千曲川本川、犀川本川の支流にどのようなため池があるのか、流入している部分も含めて総合的に判断しないと、治水対策の総合的な所見にならないわけです。だから、地域振興局ごとに、市町村から要望を受け付けるわけです。ある程度の規模の池に関して基準があることはわかりますが、危険地域あるいは本川の水量等々、過去の降雨量も含めてシミュレーションすることや、監視カメラを順次設置していくことが地域の安全・安心の一助になるのかなという思いがあったから、質問申し上げたのです。それと、もう一つ述べさせてください。地区の役員の方々についても、この池は祖父が造ったとか、このため池は、年に2回、草刈りや維持管理に村総出で行っているというように主体的に捉える思考を持っておられるならいいのですが、今はいかんせん、勤め人が増えております。小さい頃の夏休みにあのため池で泳いだという思い出話で終わってしまうような方々が、水利組合で役員等々をやっていらっしゃるので、いまいち池の管理に対する思い入れが希薄になっている傾向があります。ですから、県から地域振興局や、市町村農政部、あるいは農政課のほうに、総合的に、この監視カメラを位置づけるようにサジェスチョンしていただいてもいいかなという気がします。これは私の意見です。  2つ目になりますが、今の地籍調査の中で、個別具体的に、どこの地区かとあえて申し上げてもいいと思うのです。全体の面積の何%を占めているのか知りたいわけではないのですが、長野市に合併した旧町村で、豊野町があります。豊野町の豊野駅に至る周辺の事業が難航して進んでいません。進まないというのは、お住まいになっている方々が、東京へ行ってしまったとかで、権利調整ができないという意味です。そのような中、実は5年ほど前に、地元のいわゆる地権者と称する方々を区の役員さんが集めて説明会を開いて、2023年から地籍調査を進めてもらえるように計画を立てているのだとおっしゃっていました。その地籍調査の実施母体は長野市ですよね。なので、この間の予算にも地籍調査を盛っていることですし、長野市が昔から懸案されてる土地の地籍調査の進捗はどうなのか、その辺も農政部として一応確認だけでもしていただいたほうがいいのかなと思ったのですが、現地の住民説明会は長野建設事務所でやっておられました。予算の裏づけは農政部だけれども、現地の窓口は建設部の長野建設事務所と、縦割りになっていますので、やはり縦、横、斜めとは言わないけれども、連絡調整だけはきちんとしておいていただいたほうがいいのかなと思います。  それから、前回の議会でもお尋ねしたのですが、6次産業化という言葉は本当に定着しているのでしょうか。この土日に、ヘーゼルナッツの苗を50本植えました。ヘーゼルナッツの苗は1本、5,000円です。10年もすれば物になりますよと言われて植えました。そういう意味で、一歩掘り下げてお尋ねしますけれども、例えば、中国大陸の市内へ行くと、日本の100倍もシャインマスカットを作っているそうです。ナガノパープルといったブドウにしても、長野県の試験場が県民の税金を投資して、すばらしい、ヒットする物を生み出しました。ところが、種子法といった国際法上の取り決めがあっても、法律関係なく、お前の物は俺の物だと、グレシャムの法則ではないけれども、悪貨は良貨を駆逐してしまうのです。あるいは、脱法的な手段で、種があって、拾ってきて植えたら、実が出てきたという理屈もあります。政府間交渉もある中で、早い者勝ちとか、やり得という事態を許さないためにも、きちんとした規制があるのかどうか。それに負けじと、法律的な手続は遵守しながらも、日本あるいは長野県にふさわしい、今の時代に合ってヒットできるものがあったら、移植したらどうだという逆の発想に最近は至りました。長野県の農業を活性化し、長野県にふさわしい農作物を模索する一つの方策として、良し悪しは別として、いかがでしょうか。この間、私も世間は狭いなと思ったのは、皆さんと一緒に行きましたが、委員会で、鹿児島の廃棄物の業者さんによる総合果樹農園の中に、リンゴがあったのです。あれ、こんなところでリンゴの木を植えているのかと少しショックを受けました。リンゴにしろブドウにしろ、取りあえず今のところは、長野県は善戦し、健闘しているけれども、未来永劫不動の地位を維持できるのかは疑問です。もう一つは、今、ヘーゼルナッツのお話をしましたけれども、この地域にふさわしい、ヨーロッパ産や南米産問わず、植えてよし、それから栽培するに楽、収穫するにも、全ての中で費用対効果を考えてみた場合、そんなに投資額が必要ないような物があるのでしょうか。これから高齢化社会を迎える中で、いわゆる篤農家という言葉も死語の時代を迎えてしまいましたから、どうなのかと思いまして、園芸畜産課長、総合的な所見がありましたらお願いします。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 まず、ヘーゼルナッツを定植していただきありがとうございます。委員からアドバイスをいただいて、私どもも、長野市に先進的な方がおられましたので、そこに出向いていって、いろいろなことをお聞かせいただきましたが、まさに今の御指摘のとおり、イタリアのトリノで主に栽培されていたものでした。これが意外にも長野県に持ってきたときにもあまり手がかからず、農薬も散布せず収穫できる可能性があると分かってきました。これからは、やはり出口戦略も大事かなと思っていますので、また勉強していきたいと思います。あと、海外の優良な果実あるいは穀物を活用できないかというお話についてです。ワシントン条約ではないのですけれども、日本はUPOV条約と申しまして、いわゆる種苗法の品種登録ですとか、海外から持ってきてはいけないといった条約に批准している国でございます。法律に違反することはできませんが、法律の範囲の中で、仮にそういった知見があれば、試験場に一回隔離することにはなるかと思いますが、長野県にとって適地適作となる品種かどうか、試験する可能性はあるのかなと、今回のヘーゼルナッツの件を経て思いました。ブドウの話は、農業技術課でも、ネット販売されていたり、石川県のブドウが韓国で栽培されているというお話もありました。これは国家間の話題になりますので、国のほうでしっかりと水際対策を取っていかねばならないし、県としても、防止策を農家あるいは苗木組合の皆さんと協力してやっていく必要があるのかなと考えているところです。 ◆鈴木清 委員 では部長、6次産業で成功している事例がありましたら、御教示ください。 ◎小林安男 農政部長 6次産業化の事例ということでございます。ここ最近で最も進んでいるのは、酒類かなと思っています。長野県はワイナリーの数も多く、醸造用ブドウの栽培の生産も日本一でありますので、そういったところがしっかりとつながって6次産業化として動いているのではないかと考えています。飯綱町でもシードルを製造する動きが出ていますし、また、実際に南信州でも非常に多く造られている状態でございます。 ◆鈴木清 委員 一番最寄りの販売店というと、道の駅になりますよね。だから、農家が自分の畑で丹精込めたものを加工し、製品化し、商品にして販売しているのではないでしょうか。よその都市や市町村のことは分かりませんが、長野市に限って成功したのは何かと思ったら、おやきなのです。全国の県庁所在地で小麦の消費量が一番多いのは長野市です。しかし今は、長野市内にもうどん店が全然なくなってしまった。飲んだ後、そばよりうどんを食べたくても、うどん店がなくて、では小麦粉が何に使われているのかと言うと、やはりおやきなのかなという気がします。おやきも地域によって皮の薄さや具の多さも変わってきます。鬼無里発のいろは堂さんも、今、ものすごく見学客が増えています。おいしさは人によって個人差がありますのであえて論評はしませんし、うちで作ったおやきのほうが美味しいなということもありますが、大変な勢いがありますし、門前市を成すとはこのことだなと思います。一人一人の創意工夫を生かすことも大事です。しかし、前も申し上げたことがありますが、かつて流通の世界にあった、大型店と大型店の誘致合戦、顧客の奪い合いの時代は終わりました。商店街と商店街同士の顧客の獲得競争になりました。商店街というのは店だけではなくて、その地域の文化的な催し、映画会や公演といったトータルパワーを含めた競争ですし、市町村市町村との誘客合戦にも繋がっているのです。ですから、その言葉を農産物に置き換えてみた場合に、国内でシェア1位を目指して、それに携わる生産農家が余裕を持って生活できる道を目指すのか。しかし、この狭い日本列島の中で、山梨県あるいは北海道等々に対して、長野県が主導的な立場で連携を取ることによって、日本国発の農産物の底上げをしたならば、日本発のブドウや、リンゴ、桃等も世界に伍して負けないものになると思うのです。なので、取りあえず主導権を取るためにも、国内の中でブドウやリンゴ、梨等の、量や味、販売するパワーも長野県が抜きんでていると宣伝しなければなりません。それには知事自らトップセールスをしたり、あるいは国の省庁の支援も受け付けたり、マスメディアも引きつけるといった、援護体制を組まないとできないと思います。いつまでも群馬県と長野県の争い、あるいは、長野県と青森県の争いをしている場合ではなくて、日本国発の果物が、東南アジアや世界の市場を席巻できるような体制を敷くには、農林水産省に頼りきりになるのもいけませんし、先ほど、佐々木委員がおっしゃったように、額に汗し、泥にまみれたことのない国会議員が行政をやっている以上、日本の農業に先は見えないと思います。  かつての長野県にしても、酪農と言っているけれども、これは家庭内で循環する一つの畜産業者です。昔は牛を飼い、乳を搾り、子供に飲ませ、ヤギを飼い、そして、それらのふん尿飼料を肥料として畑に還元していましが、こうした循環ができなくなってしまいました。かつては長野県酪農販売農業協同組合連合会や、長野県養蚕販売農業協同組合連合会というものもありましたが、時代と共に消えていって、全農へ統括されてしまいました。もう一度、農業や観光も含めて長野県がパワーをつけるためには、県境を越えて連携を取ることが重要ではないかと思います。長野県が主導的に力をつけて、そして、世界に発信できるような重点的な農作物を主要作物として絞り込んでいくのはどうかと個人的に思っているのですが、部長、どんなものでしょうか。これは偏った意見なのでしょうか。 ◎小林安男 農政部長 重点的な品目を定めて、長野県の取組を強化し、さらにはその上で、国内での関係県と連携した上で世界に打って出ることに対する御質問だと思います。まさに、今、御指摘があったように、第4期長野県食と農業農村振興計画の中において、果樹という品目は非常に大きな特徴があると考えています。中でも、ここ最近、生産、消費ともに伸びてきているブドウを中心に、リンゴ、梨、桃という4つの品目を組み合わせて、長野県として全国一の産地を目指すために重点的な取組を進めてまいりたいと考えております。その上で、国でも、品目ごとにオールジャパンの体制を構築し、輸出国として世界に打って出ようという動きが出てきております。果樹に関しては、そういった国の制度も活用する中で、例えば山梨県といった他県とも連携し、長野県の地盤を固めた上で、オールジャパンの取組にもつながる方向で考えてまいりたいと考えております。 ◆依田明善 委員 それでは、何点か質問させていただきたいと思います。佐々木委員、それから鈴木委員に関連した話になるかと思うのですが、資料3の、酪農粗飼料価格高騰緊急対策事業についてです。今、飼肥料は非常に高騰しておりまして、農家の皆さんも苦悩に満ちた生活を送っておりますので、畜産について質問したいと思います。10月に、鹿児島県で第12回全国和牛能力共進会がありました。9月定例会と時期的にちょうど重なっておりまして、委員会最終日には、小林部長もそちらに出向いて見学されたということで、大変御苦労さまでした。これは5年に一回行われるということで、和牛のオリンピックと言われています。ここで優秀な成績を収めることで、和牛ブランドの市場価値が全国的に、あるいは世界的にも広まる大きなチャンスではないかと、私も非常に期待をしていました。全国41都道府県から、438頭が出品されて、種牛の部と肉牛の部に分かれて競ったわけでございます。その中で、私は特に、高校生の皆さんに期待をしていたわけですけれども、今大会から新設された高校及び農業大学校の部の中では、飯田市にある下伊那農業高校のアグリ研究班畜産部の皆さん、これは人数的には小さな部だと思うのですけれども、生後15か月の雌牛のれいんという牛が長野県代表の牛に選ばれて、出場しました。牛の選考過程も含めて、お互いに切磋琢磨しながら最後は涙をのんだ高校生もいたということで、一つの青春だなと思って見ておりました。全国的にもレベルの高い大会で、順位的にはあまり振るわなかったようですけれども、実際に現場で見学された小林部長さんは、彼らの奮闘ぶりをどのように思われたのか。また、それを見た上で今後の課題や県としての支援の在り方について、どのようなことを感じられたのか、お伺いしたいと思います。 ◎小林安男 農政部長 全国和牛能力共進会における高校生の活躍について御質問をいただきました。下伊那農業高校の取組事例の発表は本当に堂々たるものでして、大勢の観客を前にして、長野県の肉牛の魅力や品質の高さを強く訴えていただきまして、感銘を受けました。大会自体は10月6日から10日の5日間の開催ですが、このれいんという牛は、月齢でいいますと15か月齢、生まれてから15か月たっている牛でして、産まれる前の日数も含めると、高校3年生の彼らは実は高校1年の頃から、毎日その牛の管理をして、やっと10月の大会にこぎ着けたという状況でございます。前日には激励会等がございまして、直接高校生等の皆さんともお話をさせていただきましたが、ずっとこのれいんを調教し、育ててきましたと。明日の発表の中で、精いっぱい頑張りますという力強い言葉もありまして、毎日毎日、何年も育ててきたという努力があって大会に繋がったんだなと感じ取ったところです。大会当日や、前日の激励会の中でも、将来、牛の関係の職業に就きたいとはっきり申し上げる高校生がおりました。日々の取組が、将来も農業や畜産業関係に就きたいという気持ちにつながっていくということで、非常に意義のある取組だなと、この特別区の新設については私も大変評価をしているところでございます。一方で、先ほど委員からもお話がありましたけれども、全国的にもレベルが高くて、調教の技術や牛の品格といった部分については、上位入賞に比べるとまだまだという部分がございます。そういったことも踏まえて、5年後の大会に向けて、県としても、実際に長野県内で先進的な飼育をしている生産者と高校生を結びつけた研修の開催等、県としてできる支援をしてまいりたいと考えているところでございます。 ◆依田明善 委員 今、部長さんからもお話がありましたが、将来、畜産関係の仕事に就きたいという高校生もいたということです。女性の部員さんの中には、将来的には美容師になりたいという声もありました。もちろん、当然、職業は自由に選んでいただくわけですけれども、こういった大会も高校生の一つの思い出として、あるいはまた畜産業の底辺を広げていくという意味において、県としてもどんどん広報してもらって、畜産に興味を持つ子供たちが増えればいいかなと思います。先ほど、鈴木先生からもお話がありましたけれども、循環型の農業や、そして、ある程度昔に戻った、地に足のついた農業をや目指す人たちもいていいのではないかということです。今回の結果も踏まえて、県の農政部としてどのような形で県民に伝えていただけるのか、お伺いしたいと思います。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 全国和牛能力共進会の結果については、全農長野さんと協力をしながら、いわゆる畜産関係の情報誌等で既に告知をさせていただいていますし、下伊那農業高校以外の県内の農業高校の皆さんにも、大会に新しい審査部門が新設されたということを再度御案内申し上げております。ただ、先ほど部長がおっしゃったとおり、準備に大変時間がかかるものでございますし、まずは農業高校の先生に御理解していただかないとなかなか進まないなと思っていますので、その点については、私どもでフォローしていきたいなと思っています。 ◆依田明善 委員 本当に地味な、なかなか多くの県民の目には触れない部分ですけれども、非常に大事なことだと思いますので、広報もしっかりやっていただければと思います。それから、出品者の中で今回非常に誇りに思ったのが、私の地元の南佐久郡川上村の方です。川上村はもちろん、野辺山高原でも畜産や酪農が大変盛んなわけでありますけれども、川上村の古原敬久さんが出品した種牛が、14か月から17か月未満の雌の部で優等賞に輝いたということです。それから、17か月から20か月未満の雌の部では1等賞を獲得したということで、これは長野県勢においては過去最多だそうですけれども、実に立派なことだと思いました。たまたま先日もその辺を走っておりましたら、本人にばったりお会いして、私もお祝いの言葉をお伝えしたわけですけれども、本人としては、まだまだ課題もあるとおっしゃっていました。自分自身の技術的な問題もあるけれども、要するに畜産を取り巻く環境や、県の支援の仕方に関してもいろいろと課題があるということです。長野県勢も非常にレベルアップしたのですが、今回の優勝は鹿児島の皆さんになりました。そこで、品質を向上させるためには一体何が必要なのか、信州プレミアム牛肉を全国に、そして世界に向けてどのように昇華し発展させていくのか。その戦略についてどのように描いておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 和牛オリンピックと言われている5年に一度の全国和牛能力共進会でございます。その中で、今回、佐久のこの方はお一人で2部門入賞されたということで、過去初めての出来事もございました。心血を注いで、出品される牛を飼育していただいたのですが、その技術の高さには感服しているところでございます。また、東御市の方や下伊那の方もいらっしゃいました。こうした皆さんは、一回だけではなく、二回、三回にかけての挑戦で、それでようやく入賞できるような大変ハードルの高いコンクールになっております。そうはいっても長野県にも蓄積はございますが、2点ほど課題もあると思います。和牛オリンピックで勝ち残るためには遺伝的な要素が大体8割であると言われていまして、あとの2割は餌や飼育といった管理だと言われています。ただ、遺伝的能力の部分については、全国的にも同じ系統から出てくるものですから、言わせる人に言われると7割で、飼養管理が3割程度になります。いずれにしろ、遺伝子能力の高い子牛を産ませて、それを目利きで選ぶのは大変難しいものがございまして、我々長野県はその部分が若干不足しているのかなと分析しているところでございます。もう一方の飼養管理の部分は、先ほどの川上村の方ではないのですけれども、技術は向上していると思っておりますが、餌の配合や、牛に食べさせるタイミングといった技術についてはまだまだ九州勢に足りないかなと思ってございます。その課題を克服していくために、この11月に、畜産試験場とエプソンで、いわゆるAIを使った取組がスタートしました。例えば、カメラで牛を見たら、この牛にはどんなものを食べさせたらいいか、どんな体格をしていたらいいかといったことが分かるような技術を今後開発する予定です。確かに九州勢の蓄積もあろうかと思いますけれども、新しいAIの技術も使いながら、少しでも追いついていくような取組を考えなければいけないと思います。  それから、信州プレミアム牛肉の今後の展開でございます。今回の和牛オリンピックでは、初めてオレイン酸を測定し、牛の脂質を吟味する部門ができました。その礎をつくったのは、長野県でございますし、それが信州プレミアム牛肉のベースになってございます。なので、本家本元の信州プレミアム牛肉も、おいしさを科学的に測定し認定しているという点を、もう少し広めていく必要があると思います。京都、大阪といった関西では広まってきましたが、関東エリアでの認知度が低いので、国内的にはその点についてもう少し手を入れていかなければいけないかなと思います。あとは、長野県でいえば、観光地では信州プレミアム牛肉が特産品だと宣伝しているのですが、実は県民の方はなかなか牛肉を食べてくれないようです。値段も高いということもあるのですけれども、県民の方にも食べていただけるような取組も考えなければいけないと思います。世界に向けた取組については、農産物マーケティング室で補足をいたします。 ◎村山一善 農産物マーケティング室長 信州プレミアム牛肉の世界に向けた今後の戦略というお尋ねでございます。県産のプレミアム牛肉については、令和2年度から、アメリカに向けて定期的な輸出が開始されておりまして、現在も月20頭程度がアメリカに向けて輸出されているところでございます。これは、20頭丸々ではなくて、そのうちのロースやヒレの部位が輸出されているということです。県としては、信州プレミアム牛肉の認定証に英語のルビをつけてサポートしておりますし、昨年度は英語で信州プレミアム牛肉を紹介するデジタルリーフレット等も作成して、国外にも発信する体制を取っているところでございます。本年度、実際に県から輸出された牛肉が本土に行ってどうなっているのかという調査もしているところです。現地のバイヤーにお話を聞きますと、どういうストーリーで牛肉がつくられたか、また先ほど園芸畜産課長からお話ししましたが、県が全国で先駆けてオレイン酸の含量というエビデンスに基づいておいしさを保証していることについても、しっかり説明ができるかということについて、いくつか助言等もいただいております。海外に向けた輸出促進に当たっては、今後も相手国のニーズをしっかり確認して進めていければと考えておりますが、先ほど、鈴木委員さんからの御質問に部長がお答えしましたとおり、世界に打って出るときに、各県が個々にやっていてはなかなか進まない部分もあります。まさに和牛については、国としてもオールジャパン体制で推進する方向性にありますので、県の発信に併せて、オールジャパン体制で、牛肉の促進を図っていければと考えているところです。 ◆依田明善 委員 そうですね。全国和牛能力共進会の結果を見ても、全国的にレベルが高いことは間違いないと思いました。それから、アメリカやオーストラリアの牛肉を普段から食べているグルメの方々からも、日本の牛肉を食べた方は、こんなにおいしいものは食べたことがないと絶賛するそうです。そして、先ほどオレイン酸の話もありましたけれども、脂肪の部分が真っ白ではなくて若干ピンク色になっていますよね。あれは血ではなくて肉汁ということで、肉の本当のうまみが出ているのだという話も聞いているのですが、こうした技術を持っている方も日本には非常に多いということで、ぜひ技術革新して、頑張っていただきたいなと思います。  そして、競走馬と同様に、牛や馬は遺伝が7、8割というお話をお聞きしました。また、2番目の要素として、餌のお話がありました。そのことでお伺いしたいのですが、粗飼料の高騰対策についてはいろいろと御尽力をいただいていますが、私がこの前牧場を見てきた際、牛が喜んで食べる牧草がありました。むしゃむしゃと非常においしそうに食べているけれども、これはどこの牧草かと訊ねたら、ニュージーランドから直輸入しているもので、近ごろ値段が高くなって大変だという話でした。国産のもう少し安いのはないのかと言ったら、国産ではこういうおいしい牧草はなかなか手に入らないし、つくっている人もいないということでした。ならば、わざわざニュージーランドから輸入せずに、日本人が、遊休農地といった空いている土地を使って、牛が喜ぶようなものを技術革新で造るのはどうでしょうか。食料安全保障についてもよく言われますけれども、家畜の飼料の安全保障対策もしっかりやって、戦争が起きようが、何が起きようが、全部国内で賄うことができるような技術革新を進めていくべきではないでしょうか。今、サプライチェーンということも叫ばれておりますけれども、そういった技術の開発も非常に重要だと思います。この点についてどのようにお考えでしょうか。 ◎青沼健治 家畜防疫対策室長 家畜飼料の安全保障の関係です。非常に重要な話でございます。今般の飼料高騰なんですが、実のところ、為替や海上運賃だけではなくて、中東や中国に買い負けて高値での取引になっていることも、価格高騰の一因だと認識しております。そうした中で、畜産農家の方たちが使う飼料をいかに確保していくかということですが、まずは、県内で作ることが必要です。ただ、県内の場合については、畜産農家の方々も多頭化が進んでおりまして、自分たちで飼料を作ることは難しいという意見もございます。そういった部分については、国の水田の活用に対する交付金もありますので、水田農家の方たちにも作っていただきながら、県内流通を進めていければと考えております。もう一つは、県外流通でございます。牧草の6割は北海道で作っております。また、東北では長野県と違って大きな田んぼがございまして、非常に作りやすいということです。長野県でも飼料米に取り組んでいますが、まだ牧草を作る余地はあるのではないかと考えております。なかなかこの部分については、県だけで介入することは難しいので、JAグループも含めて、どういった方策ができるか考えていきたいと思っております。それから、国外から買う分をすぐに国産のものに置き換えることも難しい状況でございます。配合飼料の関係については価格安定基金がございますので、上がっても一部は補填されますが、国産飼料につきましては、購入部分について支援がございませんので、先般、部長のほうで農水省に出向きまして、セーフティーネットをつくってくれという要請をしたところでございます。いずれにいたしましても、畜産農家の皆様が飼料の確保に困らないような流通ルートをしっかりとつくるとともに、県内生産についても、国の事業を活用しながら進めていきたいと考えてございます。 ◆依田明善 委員 分かりました。500キロ、600キロという立派な牛を売ったら相当もうかるのではないかと思っておりましたら、1頭売っても、純利益は10万円か20万円くらいですよと聞いて、愕然としてしまいました。何か月も育ててきたのに、飼料代、餌代の高騰が費用に占める割合が大き過ぎてしまって、もう大変な状態です。廃業する方も非常に多くなってきております。ここはひとつ正念場でございますので、いろいろな支援をよろしくお願いを申し上げまして、質問を終わりにします。 ○小山仁志 委員長 午後3時10分まで休憩を宣した。 ●休憩時刻 午後2時55分 ●再開時刻 午後3時10分 ○小山仁志 委員長 再開を宣し、委員の質疑等発言を許可した。 ◆小林あや 委員 それでは、よろしくお願いします。最初に、原油等の物価高騰に係る農業分野の状況についてです。私はもう少し、いろいろなところから不安の声があるのかなと思っていたのですけれども、実際に私の地元の市町村の意見を聞いたら、売上げは好調だったそうです。コストとしては非常に大きかったけれども、農産物の量産ができて、その分、販売額も伸びたおかげで何とか乗り切ることができたということです。ですから、それほど大きな声は農家から聞こえてこなかったので、安心していると自治体の方たちから聞きまして、売上げが好調だと乗り切れることが分かったという点が、今回の一つの成果だったと思っております。今後の方向性の中にも大きな根拠になるか思っておりますので、お伝えしておきます。ただ、今までは在庫で対応してきた部分があったけれども、JAでも在庫が尽きてしまうと、今度はもっと価格が上がるのではないかというお話もありました。これまでは乗り越えられたけれども、これからはどうかという点に関しては、非常に不安に思う声が多かったので、ぜひ方策に反映していただきたいと思っております。それから、肥料の高騰対策についてです。朝日村はもともと肥料作りが盛んで、牛舎の堆肥を熟成させて肥料を作ってきたそうです。そうした肥料づくりについては、村の単独事業で、1トンあたり5,000円という価格に対して、2,000円を補助しているそうです。肥料を国内で作るにあたっての出口戦略につきましては、これからもいろいろな取組を行っている自治体の情報を集めていただいて、支援につなげていただきたいと思います。これは要望にしておきます。  次に、後継者問題についてです。リンゴやブドウなどの果樹というものは、一式譲り受けて成功している例が非常に多い一方で、稲作のほうは難しいということも聞いています。大きい農家ほど、子供は東京に就職させているケースも多く、後継者候補である、新規就農者の方たちにとっては、住宅や農機具の問題があるといって、なかなかマッチングがうまくいかないと自治体の方から聞いております。御高齢の皆様の中には、農機具をお持ちの方も非常に多くいらっしゃいますが、なりわいという形で生産は引退しても、家庭菜園等の形で続けていきたいという御意向が多いので、農機具も全て譲るわけにはいかないといった問題もあるようです。これについても、どう仕組みをつくったらいいのか悩んでいるようでした。一方で、例えば生坂村とかは、特定地域づくり事業協同組合を令和3年度からつくっているそうです。私も過去の委員会で発言しましたら、担当は農林水産省ではなく、総務省だというお話でしたが、組合の前段である公社の時代に、県外から新規就農者を募集して、月15万円で研修したところ、法人化した農家も2軒になったそうです。それから、令和3年度からは特定地域づくり事業協同組合に移行しているということで、これは農業の研修生たちにとって非常に有効ではないかと思いました。農業に携わりつつ、時期によっては違う働き方をする人も多いようですし、私としても、農政部の中に担い手関連の担当者を置くべきではないかと考えておりますので、一つ御意見を聞いてみたいと思います。それから、新規就農希望者からの希望があっても、少し山際になると、農地があっても人気がなくて、マッチングがうまくいかないというお声もありました。この間、農政林務委員会で、農地基盤整備事業の視察にも行きましたけれども、そうした写真をお見せすると、こんなにきれいに変わるのかと、皆さん驚かれます。こういうものがあれば、新規就農希望者の方たちも、意欲を持ってできるのにというお話もありました。視察したのは大分大がかりな事業でしたが、もう少し地域の実情に合った農地基盤整備事業はできないのか、御見解をお聞きしたいと思います。あと、後継者の中では、地域の中にネットワークができていて、情報共有できる地域は後継者が見つけやすいというお話も聞いておりますので、こうした成功事例を集めて広く提供してみてはいかがでしょうか。この3点について、まず質問させていただきます。 ◎荒井一哉 農村振興課長 担い手の関係で、特定地域づくり事業協同組合の関係と事例の発信という点についてお答えしたいと思います。特定地域づくり事業協同組合の制度につきましては、今、委員おっしゃられたように、総務省が所管する事業でございますけれども、人口減少に直面する地域における人材確保のための制度ということで、農業、農村振興ともに非常に大きい関連性があるのではないかと考えております。その中で、特にこの特定地域づくり事業協同組合に関連が深い農業、農村関連の仕組みといたしましては、農村型地域運営組織、いわゆる農村RMOという制度があります。これにつきましては、農業を核とした経済活動や生活支援活動、あるいは、地域コミュニティの維持に関する仕組みということで、農政部として所管をしているのですけれども、この事業と先ほどの特定地域づくり事業協同組合との関連は非常に強いと認識しております。したがいまして、農政部では、農村RMOの担当窓口を中心としながら、特定地域づくり事業協同組合の担当部署とも連携を取って推進を図りたいと考えているところでございます。  そして、担い手や、農地の関連の優良な事例の発信についての御質問でございます。農業者の担い手に関して言いますと、県では、情報発信の一つのアイテムとしまして、デジタル農活信州という、県やJA、市町村の全体的な担い手確保対策のポータルサイトを立ち上げておりまして、従来から、新規就農に至った経緯を含めた新規就農者の紹介等もしております。また、先ほど、農地に関して委員から御指摘がありましたけれども、担い手不足の地域では農地中間管理事業で取組を進めているという成功事例もございます。こういった取組につきましても、別の手法を使って市町村や関係者に情報提供をしていますけれども、今御指摘いただきました県内の優良事例については様々なものがあろうかと思いますので、引き続き情報を収集しながら、発信について努めてまいりたいと考えております。私からは以上でございます。 ◎平林孝保 農地整備課長 後継者問題に関わる基盤整備についての御質問をいただきました。先ほど、委員のほうから例示がありました圃場整備事業は、確かに大規模なものであります。ただ、どの事業も規模に関わらず、構想段階から、誰が、何を、どれだけ作るのかという議論を地元でしていただいております。特に農地の区画整理を伴うような事業は地域の農業を一変させる可能性を秘めておりますので、我々も圃場整備を契機として、将来その地域の営農計画がどのように変化する可能性があるか、非常に関心を持って事業を実施しておりますし、そこを含めてしっかり検討していただいた上で、県の事業を入れるかどうかという判断をさせていただいております。地域振興局農業農村支援センターで連携して地域に入りまして、意見交換をしながら事業構想を固めているところでございます。これは非常に重要な観点だと思いますので、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 ◆小林あや 委員 ありがとうございます。農地基盤整備事業につきましては、構想段階から関わっているというお話でしたが、特定地域づくり事業協同組合についても、システムを当てはめるだけではなくて、システムの基になる準備期間にしっかり下積みをすることで成功するのだと思います。そこをどれだけ関係団体に広めていくかということが大事だと思うんです。そこがなくて、システムだけ入れてしまうと、なかなかうまくいきませんので、寄り添い型といいますか、事業に興味を持っているところ、あるいは、地理的に事業の候補に挙がるようなところについてはぜひ、段取りの部分の情報提供も行いまして、カスタマイズしてもらえばいいのかなと思いますので、よろしくお願いします。それから、山形村の唐沢地区のスプリンクラーの更新については採択のめどが立ったと聞いておりますけれども、大池原、東原、朝日境までの排水事業は遅れていて、進捗率は60%程度だと聞いていますので、その理由と事業の概要については、また個人的に教えていただければと思います。また、先ほど部長からも6次産業の強みとして酒やワインに関するお話がありましたけれども、こうした事業を始めた新しい農家が、信州のワインバレー構想にどこまで食い込めるのか、関心を持って見ている自治体もあるようですので、それも含めて、また後で資料を頂ければと思います。  では、次に参ります。転作補助ということで、粘土質で湧水のある土壌を含めて、転作補助金を申請する農家が多いと聞いております。けれども、補助金をもらうためには、5年に一度、元は田んぼだったということが分かるように水張りした写真ないしデータのようなものを必ず国に送らなければならないということで、こうした作業が非常に大変だという声を複数の自治体から聞いています。せっかく畑作のために土を改良しても、また5年に一遍水を張らないといけないので、土壌改良するのも難しい、何とかならないかということでした。全国一律のシステムを構築することは非常に難しいことだと思いますし、国の要件も少し緩和されたようですが、現状はどうなっているのでしょうか。そして、農業県として国に実情をしっかり伝えたうえで、地域の実情に合った制度へ変えてもらえるよう働きかけるべきかと思いますが、御見解をお願いいたします。 ◎小林茂樹 農業技術課長 水田活用直接支払交付金の交付対象水田に係る見直しについての御質問だと思います。昨年秋に、5年間に一度も水を張り、水稲作付が行われていない農地は交付対象水田から外すという国の方針が示されたわけでございます。このルールの具現化を国で検討してまいりまして、新たに示された案といたしましては、水張りについては、水稲作付をしたことによって確認することを基本とするのですが、次の2つの場合を満たす場合は、水張りを行ったと考えるという形に変更されております。1つ目は、水を張った期間を1か月以上行うことで、2つ目は、連作障害によって収量低下が発生しないと実証することであります。必ずしも水稲作付しなくてもいいように、少し要件は緩和されておりますが、現在も市町村やJAグループ等から、委員おっしゃられたような意見を賜っておりまして、私どもも年に二回、春と秋に、地域の実情に合った要件に変えてほしいということで、国へ要請事項等をまとめておるわけでございます。そうした中、今回新たに来年度予算の事業として、畑地化した場合は、今後5年間、助成が出るようなものも組まれてございます。しかしながら、転作の助成金のように交付対象水田であればお金が出るというものではなくて、5年間という期限が設けられておりますので、今後も継続的に国の支援が行われるべきではないかと考えているところでございます。県といたしましては、そういった皆さんの意見を吸い上げながら、国に対してまた要望をしていきたいと考えているところでございます。 ○小山仁志 委員長 小林委員に確認いたします。ただいまの資料要求については、個人としての資料要求ということでよろしいでしょうか。 ◆小林あや 委員 はい。 ○小山仁志 委員長 では、後ほど、理事者の方にはお届けいただきますようお取り計らい願います。 ◆小林あや 委員 ありがとうございます。これは恐らく長野県だけの問題ではなくて、いろいろな都道府県からも出てきていると思いますので、力を結集していただいて、そして、実情に合った制度にしていただきたいと思います。また、進捗があれば、ぜひ教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  伝統野菜については、個人的に回答していただければいいので、お伝えしておきます。今、伝統野菜は高齢化の問題もありますし、それから、この土地でないと駄目という地理的な条件に加えて、販路拡大が課題だという話を聞いております。今回も資料にありましたので、読ませていただいたのですけれども、そもそも県として伝統野菜を増やしたいのか、種を守りたいのかというところが、課題ではないかと思ったのですが、伝統野菜の継承者の現状とともに後日個人的に御回答願います。  次に移ります。食肉処理施設についてですけれども、その後の進捗について簡潔に御説明いただきたいと思います。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 食肉処理施設の関連の御質問でございます。5月31日に、松本の施設に関しましては、JAグループと生産者団体から知事に対して要請をいただきました。知事からは、県も一歩踏み出して最大限の支援をするというお答えを表明させていただいたところでございます。その後、松本市でも、ごみ処理施設の候補地について、当初は令和6年度までに更地にして返してほしいという要請だったのですけれども、知事の表明も受けて、その要請は取り下げることになっております。以上の経緯を踏まえて、松本の施設に関しては、今、二つの話合いの場をつくることになりました。一つは、新設に向けた大型事業になるということで、県も支援を検討するとともに、市町村とも協調して支援をすることになったので、県と市町村、JAグループ、食肉公社の皆さんと懇話会を開催しているところでございます。これまで9月と11月の二回、開催をしまして、課題の掘り下げをしたところ、大きく二つの課題が出てきました。候補地をどう探索するかということと、そして、新しい施設を建設するに当たって、負担割合をどうするかということです。懇話会では、この二つの課題に対して様々な意見を頂戴しながら検討している最中でございます。それから、もう一つの話合いの場については、JAグループでプロジェクト会議のようなものをつくっていただきました。今後、新しい施設になった場合の運営や、施設の規模といった経営シミュレーションをしていただく場でございます。また、松本市の事業については、今のところ国庫事業の採択要件には入っていないものですから、話合いを続ける中で、国に採択されるような施設にしていくことを課題としているところでございます。今後は、この懇話会の議論をさらに深めていって、最終的に新施設の負担割合についても、県と市町村の協議の場を設けて合意できればいいかなと考えております。進捗状況は以上でございます。 ◆小林あや 委員 ありがとうございます。食肉処理施設については、他県の事例もお聞きしましたけれども、候補地が決まるまでにはいろいろな課題があると聞いております。ほとんどの都道府県でもそうですが、住民や地主の理解を得ることが難しい中で、信州はどうするか考えたときに、そういった大きな課題が軽減される方向でまとまるのがいいのではないかと考えております。いろいろな市町村の話も耳に入ってきますけれども、最終的に様々な懸念が一番軽減された中で合意形成がまとまればいいなと思っておりますので、要望しておきます。また、進捗分かりましたら教えてください。ちなみに候補地はまだ公表できないのでしょうか。 ◎吉田新一 園芸畜産課長 委員御指摘のとおり、候補地は大変デリケートな問題でございまして、過去においても、何回か候補が上がったときに、公表前に住民の反対運動が起こったケースもございますので、様々な条件がそろうまでは、候補地についての情報は控えさせていただきます。 ◆小林あや 委員 分かりました。では、最後に、野生鳥獣対策についてお願いします。筑北村では鹿の被害がついに米にまで出てきたということです。はぜかけ米がかかっていて、そのお米の高さが鹿の目線にちょうどよいということで、3割も被害にあったそうです。しかも鹿が美ヶ原から来ている群れらしいと分かったということですので、例えば、生殖ホルモンを抑制するピルをまくとか、抜本的な対策が必要ではないかと思いますけれども、また、要望にしておきますので、研究していただいて、次の委員会のときに改めて伺いたいと思います。以上です。 ◆池田清 委員 資料に基づき、何点か質問します。よろしくお願いします。最初に資料12の、食と農業農村振興計画に関する質問です。審議会で協議し、答申をいただいたということですが、2ページ目に、施策体系ということで、大きく3点示されているところです。どれも大変重要な柱であると思うのですが、最初に示されているのが、「皆が憧れ、稼げる信州の農業」という柱です。1のところにはトップランナー、2のところにも稼げる農業と、大変大きな収益を上げている農業者をここで書いているのですが、皆という主語が誰を指すのかよく分からなくて、ちょっと細かいことですけれども、お聞きしたいと思います。 ◎塩川ひろ恵 農業政策課長 御質問の「皆が憧れ」でございますが、審議会の委員の皆様にも憧れや、稼げるという言葉は人によって捉え方が様々であるとの御意見を頂戴いたしました。基本的な考え方といたしましては、農業が県民の生活に欠かすことのできない成長性のある産業として、一番は子供たちが憧れていただき、将来の職業として選んでいただきたいという思いを込めて、この言葉を設定したところです。 ◆池田清 委員 いわゆる農業に従事している関係者の皆さんということではなくて、広く県民、とりわけ将来に夢を持つ子供たちが、農業に憧れを持ってこれから従事してもらえるようになってほしいということかなと解釈しましたけれども、少し分かりづらい気もしました。それから、資料19に、農業エグゼクティブMBAという、農業経営に関してまさにMBAという観点からトップランナーを育成する取組が掲載されていますが、10億円を稼ぐこともなかなか大変なことだけれども、そこに集まった人たちは、現実として今、その範囲にあって、さらに高みを目指すということです。1億円の収入を得ることは大変なことですが、そうした皆さんが長野県全体を引っ張るということで、これは大変価値のあることだと思います。しかし、その頂が高ければ高いほど、それを支える裾野が広くなくてはいけません。長野県の農業全体が裾野を広く持たないと、単にトップランナーの皆さんのように10億円稼ぐ人たちが何人いたとしても、県全体の農業振興という立場に立って考えるとそれも少し違うのかなと思うのです。環境面や防災面、それから、農地の荒廃を防ぐという意味でも小規模農業や家族経営の位置づけが必要ではないかと思うのですが、この計画の中には、そうした記載はあるのでしょうか。 ◎塩川ひろ恵 農業政策課長 まさに池田委員がおっしゃったとおりの、同じような御意見も委員の皆様から頂戴しております。先ほど説明で、こちらは特に事業的に分かりやすいものを項目出しして御説明させていただいてしまったので、当然でございますが、まず新規就農者も増やさなければいけないし、家族農業の方や小規模農家の方、それから農ある暮らしなど、多様な形で地域農業を支えていかなければいけないことについても、私どもも承知はしております。そういった皆様全てを、地域農業の支える担い手や人材として位置づけさせていただいて、さらに地元で活躍していただけるように、施策にもそうした表記を当然ながら入れてまいります。 ◆池田清 委員 そうした視点も大変大事だと思いますので、ぜひともよろしくお願いします。私も大分、体力が衰えてきましたが、農地をまた二反歩ほど登記することになりました。自分で管理することもなかなか難しいけれども、地籍調査にも関連しますが、それぞれの土地の所有者を明確にすることが、これから先のことを考えるうえで必要であるということで譲受けたところです。なので、ぜひ小規模農家についても、この計画の中にしっかり位置づけをしていただきたいと思います。それに関連して、資料9の地籍調査についてでございます。先ほど佐々木委員からお話しをいただきましたが、長野県の進捗率が低いということで、事業主体市町村ということですけれども、来年度に向けて市町村とも連携していただかなくてはなりませんが、いかがでしょうか。 ◎平林孝保 農地整備課長 地籍調査の進捗についてですけれども、委員御指摘のとおり、事業主体である市町村がどのように進めるかということが重要になるわけです。毎年、予算要求をしていただく中で、現在動いている地籍調査の工区の進捗状況ですとか、新しい工区に着手するか否かの判断について、市町村の担当者と地域振興局で細かくお話させていただいて進めております。中には、個々の課題を抱えて作業が止まっているところもありますので、個別具体な悩み相談にも専門家を交えた研修会や相談会等を開催しながら、進めさせていただいております。市町村のマンパワーや予算等の問題もありますけれども、市町村に対して、地籍調査の効果等を私どもからしっかり説明させていただく中で、前向きに取り組んでいただくように進めていきたいと考えております。 ◆池田清 委員 長野県町村会からも新たに陳情が上がっていますよね。その中に細かいことも書かれていますけれども、なかなか前年度と比較しても、翌年度の予算の獲得や事業の進捗があまり見られていない部分があると思うんです。県としても39%という数字がありますけれども、今後市町村と連携して進捗率を高めていく中で、毎年、どのくらいの面積を目指すといった目標や計画をお持ちでしょうか。 ◎平林孝保 農地整備課長 地籍調査につきましては、国全体で計画をつくっておりまして、現在、第7次の国土調査事業十箇年計画を進めている最中でございます。この計画は、令和2年度から10か年ということで、本県におきましても、その国の計画策定の中で検討させていただいております。1年ごとのパーセンテージという形での管理はしておりませんけれども、今回の10年間にあたっては、全体として目標を187平方キロメートルとしまして、市町村と連携をしながら計画的に進めていく予定でございます。 ◆池田清 委員 そうすると、その計画で187平方キロメートルを達成した場合には、進捗率は何パーセントに上がるんですか。 ◎平林孝保 農地整備課長 失礼しました。約2%の進捗率アップになります。 ◆池田清 委員 そうなりますと、長期の計画が必要になりますので、これからもしっかり市町村と連携していただきたいと思います。町村会から新しい技術に関する要望もあるようですし、リモートセンシングデータの活用ということで、林務部や建設部とも連携して、進捗率を高めていっていただきたいとお願いします。それから、資料11の経営体育成支援事業ということで、農業用機械の施設への導入や、整備の支援について書かれています。この委員会で九州に視察へ行ったときには、大変大きなトマトの栽培ハウスを拝見しましたし、県内では、佐久でイチゴのハウスを視察しました。このイチゴのハウスは、この前の信濃毎日新聞にも大きく取り上げられていましたが、4倍のお客さんを迎えることができる施設になるそうです。ともに30代の、若手の経営者が今までの経験などを踏まえながら、海外から資材を取り寄せて、大きな投資をしながら施設整備をしたそうです。こうした先進的な事例は、県内にもたくさんあると思うのですが、これらについて、しっかり要望に応えられるだけのニーズはあるのでしょうか。また、それに係る対応は可能なのでしょうか。要望はあるけれども、補助金の枠がいっぱいであって応えられないことがないのか。その状況についてお伺いします。 ◎荒井一哉 農村振興課長 この事業につきましては、国庫事業はもちろん活用しておりますし、その予算についても、最終的には国庫予算の枠に収まる要望が対象になるということで、現時点では予算額に収まるのではないかと想定しております。ただ、一方で、この国庫事業にも採択要件はございます。特に今回は、経営の強化を事業の目的として掲げているのですけれども、経営についてポイントで評価をされる部分があります。例えば、付加価値額の1割以上拡大しているか、あるいは、面積がどのくらい拡大するか、法人化がされているか、環境に配慮されているかといったところです。なので、農家や経営体で取り組む場合は、様々な指標に基づくポイントを高くできるよう努力していきます。最終的には全国で比較し、ポイントが高いところが採択されていきますので、必ずしも要望を上げたもの全てが通るということではございません。場合によっては、農家の要望に沿わない事例も出てくるのではないかと思っております。 ◆池田清 委員 もちろん、採択基準もきちんとあるかと思いますし、また、国の税金でもありますから、その採択に向けた審査が必要だということは言うまでもありません。そうした中、若手の経営者を中心に、農家の皆さんもアンテナを高くして情報収集していると思いますけれども、地域振興局も含めて、県としてもしっかり情報を提供していただきたいと思います。多くの経営者皆さんは、金融機関から多額のお金を借りて投資をしております。長野県全体の農業の底上げのためにも、ぜひとも、そうしたところへ情報提供や意見交換を実施し、皆さんの問合せにも真摯にお答えいただきたいです。いずれにしても、先ほどのトップランナーであったり、あるいは、経営セミナーであったり、何かしら、お金が先に行っている部分があるかと思います。私などは、昔のアナログ人間として、やはり現場で、汗をかき、土にまみれて、しっかり地に足がついたところで、議論をしていかなければいけないかなという気もします。ぜひとも農政部皆さん方には、そうしたことも踏まえながら、長野県農業全体の底上げにお力をいただきたいと思います。以上で質問を終わります。 ○小山仁志 委員長 本日の審査はこの程度とし、明13日は午前10時30分から委員会を開会し、前半は農政部関係の審査、後半は林務部関係の審査を日程といたします。  なお、今定例会中の委員会の開議通知は、書面通知を省略し、放送または口頭連絡により行いますので御了承を願います。  散会を宣した。 ●散会時刻 午後3時52分...